2026.08.20
歩合35%の美容師、売上別のリアルな手取り額
売上をいくら上げれば、手取りはいくらになるのか。歩合で働いていると毎月この換算をしているはずなのに、いざ聞かれると答えられない人が多い部分です。東京のあるサロンの社員の条件で、売上80万円から1000万円までを並べたシミュレーションを見ていきます。
運営として見ていて思うのは、売上目標は店の中で共有されても、そこから引かれるものまで一覧で並んだ表はあまり出回らない、ということです。
この数字が成り立っている条件
先に前提から。金額だけ持ち帰っても意味がないので、ここが一番大事です。
- 正社員としての雇用(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険はすべて完備)
- 健康保険は東京美容国民健康保険組合に加入。健康保険料は月額の目安で約19,000円(年齢・収入により変動)
- 歩合は技術売上の35%。フリー・指名を問わず技術売上に対してつく
- 交通費として毎月一律2万円が支給される
この4つのうちどれか1つでも違えば、以下の表の数字は全部変わります。 特に歩合率と、歩合の対象が技術売上だけなのか店販を含むのかは、店によって大きく違うところです。
売上別の手取り額
各種控除(社会保険料・所得税・住民税・雇用保険など)を引いたあとの目安が次のとおりです。
| 売上 | 手取り額(目安) | 手取り率(目安) |
|---|---|---|
| 80万円 | 約25万円 | 約31% |
| 100万円 | 約30万円 | 約30% |
| 120万円 | 約36万円 | 約30% |
| 150万円 | 約44万円 | 約30% |
| 200万円 | 約59万円 | 約29.5% |
| 300万円 | 約84万円 | 約28% |
| 500万円 | 約138万円 | 約27.6% |
| 1000万円 | 約259万円 | 約25.9% |
売上100万円のケースを1本分解すると、技術売上100万円 × 35% で歩合給が35万円。ここに交通費2万円が乗って総支給額37万円。そこから社会保険料24,000円、所得税・住民税の概算37,000円、雇用保険などその他5,000円で、控除合計は66,000円。残りが約30万円です。
手取り率は、売上が上がるほど下がる
表を上から下に見ていくと、手取り率がじわじわ落ちていきます。売上80万円で約31%、1000万円で約25.9%。5ポイント強の差です。
理由は歩合率ではありません。歩合は上から下まで35%で変わらず、変わっているのは所得税・住民税の負担のほうです。売上が10倍以上になっても比率が一定にならないのはここです。
だからこそ「売上が2倍になれば手取りも2倍」とはならない、という読み方をしておくのが安全です。売上300万円と500万円を比べると、売上は約1.7倍で手取りは約1.6倍。悪い話ではありませんが、目標を立てるときの計算がずれる程度には差があります。
なお、これはあくまで社員(雇用)としての数字です。同じ売上でもフリーランスや業務委託なら、手数料の割合・材料費の負担・社会保険の入り方がまるごと変わるので、この表をそのまま当てはめることはできません。
自分の場合はどう読むか
読み替えるのに必要なのは、給与明細1枚です。
歩合率が何%か、その対象は技術売上だけか、交通費が別途支給か込みか。この3つを明細と雇用契約書で確認すれば、自分の総支給額の作られ方が分かります。あとは直近3か月の売上と手取りを並べて、手取り額 ÷ 売上を出してみてください。それが自分の手取り率です。
素材のほうにも、こう添えられていました。
手取り額は売上・年齢・扶養状況・住民税などによって変動します。あくまでシミュレーションの一例としてご覧ください。
同じ売上・同じ歩合率でも、扶養に入っている家族がいるか、前年の所得がいくらだったかで手元に残る額は変わります。転職や独立の判断材料にする場合は、この表の数字ではなく自分の明細から出した数字で比べてください。税額や社会保険の扱いで分からないところは、所轄の税務署や税理士などの専門家に確認を。
まずは今月の明細を出して、歩合率と控除の内訳を見るところからです。自分の手取り率が分かれば、次に狙う売上がいくらであれば生活がどう変わるのかを、感覚ではなく金額で考えられるようになります。
